大数の法則
大数の法則とは、確率論・統計学において偶然に発生しているように見える事象でも多くの数を長時間観察する事で傾向をとらえる事ができ、また理論上の値に近づく現象を言います。
例えば、サイコロの目は1から6までの6つありますが、その中で1が出る確率は1/6です。これは簡単な算数(統計学)を用いて簡単に計算できる理論上の値です。では実際にサイコロを何度も投げてみて傾向を見てみましょう。以下に私が投げたサイコロの目の結果を記載しています。
サイコロを10回投げた結果
サイコロの目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
回数 | 2 | 0 | 5 | 1 | 2 | 0 |
割合 | 0.2 | 0 | 0.5 | 0.1 | 0.2 | 0 |
サイコロを10回投げた場合、2と6の目は出ませんでした。また全体的にそれぞれの目がでた割合は理論上の確率1/6=0.16667からかけ離れています。
サイコロを100回投げた結果
サイコロの目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
回数 | 20 | 14 | 24 | 11 | 17 | 14 |
割合 | 0.2 | 0.14 | 0.24 | 0.11 | 0.17 | 0.14 |
サイコロを100回投げた場合は、全体的に理論上の数値に近づいているように見えますが、1と4の目は他の目と比べると数が少ないです。
サイコロを300回投げた結果
サイコロの目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
回数 | 51 | 42 | 60 | 47 | 51 | 49 |
割合 | 0.17 | 0.14 | 0.2 | 0.16 | 0.17 | 0.16 |
サイコロを300回投げるとようやく理論上の確率、1/6=1.6667に近づいてきました。
ですので、保険事故の発生率に関しても大数の法則を基に多くの事故ケースを長時間分析して予想される事故率を割り出すことによって、理論上保険料を計算できるようになります。
収支相等の原則
同じリスクにさらされた人々が支払う保険料の総額は、事故発生時に支払われる保険金の総額に等しい事を収支相等の原則と言います。つまり、
同じリスクにさらされた人々の数=n
保険料=P 事故に遭った人々の数=r 支払い保険金の額=Z |
とすると、n*P = r*Z という等式によって表現する事ができます。この式をPについて求めるとP=r/n*Zとなります。r/nは事故に遭った人の数を総数で割った数ですので、事故率という事になります。この事故率は大数の法則を基に導き出します。
利得禁止原則
損害保険は偶然の事故によって被った経済的損害を補填する事が目的ですので、損害からの原状回復を支援するための保険ですので、被った経済的損害以上の保険金が支払われる事はありません。これを利得禁止の原則と言います。
利得禁止の原則は、保険金詐欺などによって少額の保険料で多額の保険金を受け取ろうとする行為を防ぐのが目的でもあります。
保険料即収の原則
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